ようこそ ちいさなアトリエカーロカーラへ
私は店長のモエギ。
今日もアトリエには優しい時間が流れていたのです・・・が・・・、
「モエギさん!モエギさん!」
息を切らせてお店に入ってきたのは絵描きのアサギ。
「昨日、夢を見たんだ!」
弾むように話すアサギは子供みたいにはしゃいでいました。
「大きくて金色のシャンデリア、それにたくさんの拍手と笑顔!それはまるで・・・」
しばらく考え込むアサギ。
覗き込む私。
「それはまるで?」
同じ言葉を返すと、急にアサギは手をたたいて大きな声で言ったんです。
「シンデレラ城だ!」
わけがわからない私を今度はアサギが覗き込んでニヤリと笑う。
「ちょっと出かけてくるね。帰ってきたら絵を描くからそれを花嫁様に届けようね!」
そう言って、スケッチブック片手にアサギは森へと出かけました。
その日の太陽は真っ赤に空を染めて
西の空へと沈みました。太陽がさってもまだ空は名残惜しいのか
ほのかな赤を残したまんま。それでも夜が静かに訪れて赤から紫へゆっくりと色を染めていく。
やがて漆黒の空に真っ白な月が浮かび始めた頃、
夜のアトリエには、ほのかなランプの明かりが灯ります。
オレンジ色のやさしい光の下で、
「見て。モエギさん」
ゆっくりと開かれるスケッチブック。
開かれたページにあったのは、
「この紫は夕暮れの後の空の色。
それからこれは・・・」
アサギが指を指したのは金色のシャンデリア。
「夢で見たんだ。
魔法の夜に愛する人に出会い、
王子様はシンデレラを捜し求めて、真実の愛を手に入れた。女の子なら誰もが子供の頃、あこがれたストーリー。
舞踏会の夜に二人をやさしく包んだのは、シャンデリアの明かり。
そのシャンデリアが描かれてありました。
宵の口の薄紫いろの空に、輝く金色のシャンデリア。
美しく華やかでありながら、上品さを持ったアサギの絵。
「招待状は花嫁から贈られるゲストへの最初のプレゼントでしょ。
だから、とびきりの美しさを込めたいんだ」
シンデレラの幸せにたくさんの拍手があふれたように
あなたの幸せもたくさんの拍手であふれることを願って、アサギが描きました。
あの魔法の夜にシンデレラと王子様をやさしく包んだシャンデリア
二人とゲストを結ぶことを祈って、私はこの絵を招待状、席次表、
真実の愛を手に入れた花嫁様に届ける日を待っています。



